糖尿病:diabetes

糖尿病は、血液中の「血糖値」が慢性的に高くなる病気です。血糖値は、食事で摂った糖をエネルギーに変えるホルモン「インスリン」の働きによって調整されますが、糖尿病ではこのインスリンがうまく作用しなかったり、分泌が足りなくなったりすることで、血糖値が高い状態が続いてしまいます。

どのような事が原因で糖尿病になるの?

糖尿病は生活習慣病の一つで、言葉の通り生活習慣に起因するもので高カロリー・高脂肪な食事を続けていたり、運動不足などで肥満になるといった環境が要因になります。


また、遺伝的な要因もあり血縁関係に糖尿病の方がいる場合、ご家族など同じ嗜好の食事をされている場合も環境要因でもありますが糖尿病を発症する可能性が高まります。


その他、インスリンを分泌している膵臓そのものの炎症や萎縮、膵ガンによっても血糖値が乱れます。

放っておくとどうなるの?

糖尿病で血液中の糖分が高い状態が続くと血管がもろくなり細い血管がある場所から障害が発生しやすくなります。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは目の奥にある「網膜(もうまく)」という、カメラで言えばフィルムにあたる部分が、糖尿病によって傷ついてしまう病気です。網膜には非常に細かい血管がたくさんあり、ここがダメージを受けると、、、


・血管が詰まって酸素が届かなくなる

・血管が破れて出血する

・正常でない新しい血管ができて、さらに出血や網膜剥離を起こす


といったことが起き、視力が徐々に落ちたり、最悪の場合は失明してしまうこともあります。



これを放っておくと以下のようなことが起きるリスクがあります。


視力低下(文字が読みにくい、ぼやけるなど)

硝子体出血(目の中に血がたまり、突然見えなくなる)

網膜剥離(網膜がはがれて失明する)

緑内障(眼圧が上がり視神経がダメージを受ける)

*一度失われた視力は、元には戻らないことが多いのがこの病気の怖いところです。


糖尿病腎症

腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する「体のフィルター」のような役割をしている大事な臓器です。糖尿病が長く続くと、この腎臓の働きが少しずつ悪くなってしまうのが、糖尿病腎症です。多くの場合気づかないうちに進行する腎臓の病気です。



腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する「体のフィルター」のような役割をしている大事な臓器です。糖尿病が長く続くと、この腎臓の働きが少しずつ悪くなってしまうのが、糖尿病腎症です。



糖尿病腎症の怖いところは、かなり進行するまで症状が出にくいことです。初期はほとんど無症状ですが、以下のように段階を追って悪化していきます

1.尿にたんぱく(アルブミン)が出始める(腎臓の初期障害)

2.血圧が高くなりやすくなる

3.むくみが出る、だるくなる

4.腎機能が大きく低下する

5.最終的に人工透析が必要になる(腎不全)



糖尿病腎症を放置して進行すると、やがて腎臓が十分に機能しなくなり、体の中の老廃物や余分な水分を排出できなくなります。そうすると、体がむくむ・疲れやすくなる・食欲がなくなる・息切れが出てくる・血圧がさらに上がるといった自覚症状が現れ、最終的には腎不全となり人工透析が必要となります。



人工透析になると、週に3回ほど、何時間もかけて血液を機械でろ過する必要があり、生活に大きな負担がかかってしまいます。



実は、≪日本で人工透析になる原因の第1位が「糖尿病腎症」≫なんです。

糖尿病神経障害

糖尿病神経障害とは、糖尿病になると、血糖値が高い状態が続きます。この高血糖が長期間続くと、体の中の神経にもダメージを与えてしまうことがあり「手足のしびれ」だけじゃない、体のあちこちに影響する神経のトラブルがおきます。それが糖尿病神経障害です。


神経は、私たちの体をコントロールする大切な電線のような役割をしており、「手足を動かす」「温度や痛みを感じる」「内臓の働きを調整する」など、さまざまな働きを担っています。



糖尿病神経障害にはいくつかのタイプがありますが、特に多いのは「手足の神経」がダメージを受けるタイプです。以下のような症状があらわれます。

・手や足のしびれ

・ピリピリ、チクチクするような痛み

・足先の感覚が鈍くなる(ケガに気づきにくくなる)

・夜になると痛みが強くなる・

・足が重だるく感じる



症状が進行すると自律神経という内臓の働きを調整する神経にも影響がでてきて

・立ちくらみが起きやすくなる

・胃もたれや便秘・下痢が続く

・汗をかきにくくなる(または逆に多汗)

・男性の場合、勃起障害(ED)になることもといった症状が現れることもあります。



放っておくことによる深刻な問題がおきるリスク



糖尿病神経障害を放置していると以下のような深刻な問題につながる恐れがあります。

・足のケガややけどに気づかず悪化 → 傷が治りにくくなり、感染や潰瘍に

・重度の場合、足の壊疽(えそ)や切断のリスク

・立ちくらみで転倒・骨折の危険

・消化不良・排便トラブルで生活の質が低下

・EDなどによる精神的ストレス

糖尿病による足のトラブル(足潰瘍や壊疽など)は、最悪の場合、足の切断に至ることもあります。これらの原因の多くが、実は神経障害の見落としや放置です。



糖尿病は初期には自覚症状がほとんどありません。そのため、以下のような徴候がある場合は早めの受診をおすすめします。

☑最近、やたらとのどが渇く

☑トイレが近くなった

☑食べているのに体重が減ってきた

☑急に疲れやすくなった

☑健康診断で「血糖値が高め」と言われた



※当院では病状により糖尿病専門医にご紹介させていただきます。